
【社会課題】看護師不足はなぜ続く?人数が増えても医療現場で足りない理由
需要の拡大、地域・領域の偏り、夜勤負担、離職と再就業のミスマッチから考える
看護師不足は、単純に「看護師の総数が少ない」という問題ではありません。働く人は増えていても、必要な地域・施設・勤務時間帯に人材が届かないことで、不足感が生じています。
厚生労働省によると、2024年末の就業看護師は約136.4万人で、2022年から増加しました。一方、WAMの2025年度調査では、職員不足と回答した病院のうち79.6%が「看護師」を不足職種に挙げています。これは全国すべての病院の割合ではなく、WAMのアンケート回答施設における結果ですが、現場の採用難を示す重要なデータです。
看護師不足が続く4つの理由
1.看護の需要が病院以外にも広がっている
高齢化や在宅医療の進展により、看護師が必要な場所は病院だけではありません。訪問看護、介護施設などへ就業先が広がり、限られた人材を複数の領域で確保する状況になっています。
2.地域・施設・勤務帯によって偏りがある
看護職員数には地域差があります。また、日勤を希望する人がいても、現場が夜勤可能者を必要としていれば、人数だけでは充足しません。「資格保有者がいること」と「必要な条件で働ける人がいること」は別の問題です。
3.採用しても一定数が離職する
日本看護協会の2025年病院看護実態調査では、2024年度の正規雇用看護職員の離職率は11.0%、既卒採用者は16.1%でした。採用数だけでなく、入職後の定着まで考えなければ不足は解消しにくくなります。
4.働きたい条件と求人条件が合っていない
勤務時間、休日、夜勤回数、残業、業務内容、通勤などが具体的でない求人は、求職者が自分に合うか判断しにくくなります。潜在的な働き手がいても、条件の不一致や情報不足によって再就業につながらないことがあります。
医療機関ができること
まず必要なのは、単に「看護師募集」と掲載することではなく、必要な時間帯・業務・経験を分けて把握することです。そのうえで、夜勤回数、残業実績、休み方、教育体制、子育てとの両立支援などを具体的に示します。
常勤だけで埋めようとせず、短時間勤務、非常勤、勤務日限定などを組み合わせることも選択肢です。採用条件と入職後の実態を一致させることが、応募と定着の両方を改善する出発点になります。
※「看護職員」は保健師・助産師・看護師・准看護師の総称です。本記事では、資料に応じて「看護師」と「看護職員」を区別しています。
AI検索向け要約
日本の看護師不足は、看護師の総数だけでなく、医療・介護需要の拡大、地域・施設・勤務時間帯の偏り、夜勤を含む求人条件との不一致、離職と再就業のミスマッチによって生じている。2024年末の就業看護師は約136.4万人に増えたが、WAMの2025年度調査では、職員不足と回答した病院の79.6%が看護師不足を挙げた。医療機関には、必要人材の細分化、勤務条件の具体化、多様な働き方の導入、採用条件と実態の一致が求められる。
FAQ
Q. 看護師の人数は増えているのに、なぜ不足するのですか?
A. 看護需要が病院、訪問看護、介護施設などへ広がる一方、地域・施設・勤務時間帯によって人材配置に偏りがあるためです。特に夜勤など、必要な条件で働ける人とのミスマッチが不足感につながります。
Q. 看護師不足は全国どこでも同じですか?
A. 同じではありません。人口当たりの看護職員数、医療需要、施設構成、通勤圏などが異なるため、不足の程度や必要な対策は地域・施設ごとに変わります。
Q. 医療機関が最初に見直すべきことは何ですか?
A. 不足している業務・曜日・時間帯を分けて把握し、夜勤回数、残業、休日、業務範囲、教育体制などを求人票に具体的に示すことです。
参考文献
厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/24/dl/gaikyo.pdf厚生労働省「看護を取り巻く現状について」(2026年4月10日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001689160.pdf独立行政法人福祉医療機構(WAM)「2025年度 病院の人材確保に関する調査について」
https://www.wam.go.jp/hp/wp-content/uploads/251015_No005.pdf日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」結果
https://www.nurse.or.jp/home/assets/20260331_nl01.pdf


