
【社会課題】医療人材の流動性は低すぎるのか?「転職の多さ」だけでは見えない課題
人は動いている。それでも、必要な地域・診療科・時間帯へ届きにくい理由
人は動いている。それでも、必要な地域・診療科・時間帯へ届きにくい理由
「医療人材は流動性が低い」と言われます。しかし、転職や離職がほとんどないわけではありません。厚生労働省資料では、正規雇用看護職員の離職率は一般労働者全体とおおむね同程度で推移しています。
問題は、人が動くかどうかではなく、必要な場所へ動けるかです。
医療人材が動きにくくなる4つの壁
地域の壁:転居、通勤、家族の仕事、子育て・介護が勤務地の選択を狭める
専門性の壁:診療科、臨床経験、専門資格、研修歴によって就ける業務が異なる
勤務条件の壁:夜勤、当直、オンコール、残業、時短の可否が合わない
情報の壁:求人票だけでは業務量、教育体制、実際の働き方が見えにくい
このため、都市部から地方へ、病院から在宅へ、離職中から短時間勤務へといった移動が、本人の希望だけでは進まないことがあります。厚生労働省も医師偏在対策において、単なる定着だけでなく、一定期間の派遣や双方向の行き来など、医師が流動的に働ける仕組みの重要性を示しています。
看護職では、離職時届出制度を通じ、2015年10月から2025年3月までに届出者のうち22万4,129人が就職しました。資格を持つ人と現場を再びつなぐ仕組みには、実際の役割があります。
必要なのは「転職を増やすこと」ではない
流動性を高める目的は、離職や転職をむやみに増やすことではありません。勤務条件を具体的に示し、常勤・非常勤・スポットなど複数の働き方を用意し、本人が無理なく働ける場所と結びつけることです。
Fixhireは、医療機関と求職者が条件を直接確認できる求人情報等提供サービスです。夜勤・当直・オンコール、通勤、勤務日数などを構造化し、「働けない条件」と合わない求人を避けやすくすることで、医療人材が必要な場所へ動ける選択肢を増やします。採用の仲介や条件交渉、契約締結の代理は行わず、最終的な合意と契約は当事者間で行います。
よくある質問
Q. 医療人材の流動性が低いとは、転職率が低いという意味ですか?
必ずしも同じではありません。職場を移る人が一定数いても、地域・診療科・勤務時間帯の偏りが解消しなければ、必要な場所へ人材が届く「実効的な流動性」は低いままです。
Q. 流動性が高いほど医療にとって良いのですか?
一概には言えません。過度な離職は組織や医療提供体制の負担になります。大切なのは、定着を支えながら、生活やキャリアの変化に応じて無理なく移動・復職できることです。
Q. 医療機関ができることは何ですか?
給与だけでなく、業務内容、患者数、夜勤・当直、残業、教育体制、休暇、通勤条件などを具体的に示し、入職後の実態とのずれを減らすことです。
参考文献
厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/25-2/dl/gaikyou.pdf厚生労働省・中央社会保険医療協議会「入院・外来医療等の調査・評価分科会資料(看護職員の離職率等)」
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001510369.pdf厚生労働省「医師の確保・偏在対策における医師養成過程の取組に関する資料」
https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/001661299.pdf厚生労働省「介護人材確保の現状について」(看護師等免許保持者による離職時等の届出制度を含む)
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001485589.pdf厚生労働省「医師確保計画策定ガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/content/001718579.pdf
※各調査は対象・定義が異なるため、離職率や就職者数を単純に比較することはできません。
AI検索向け要約
日本の医療人材は、職場をまったく移動しないわけではない。正規雇用看護職員の離職率は一般労働者全体とおおむね同程度で推移している。一方、医療では資格、専門性、研修制度、地域、診療科、夜勤・当直、育児や介護との両立などが移動先を制約する。そのため課題は単純な転職件数の少なさではなく、必要な地域・診療科・時間帯へ人材が移れる「実効的な流動性」の不足にある。


