
【社会課題】医師の地域偏在・診療科偏在とは?医師が増えても不足が続く理由
医師数の「全国平均」だけでは見えない、地域と診療科の医療提供体制
日本の医師数は増えています。それでも「医師が足りない」という声がなくならないのは、医師が必要な地域・診療科へ均等に配置されているわけではないからです。
医師数は増えても、地域差は大きい
厚生労働省の2024年統計では、全国の届出医師数は34万7,772人で、2022年から1.3%増加しました。
一方、医療施設に従事する医師は人口10万人当たり全国平均267.4人。都道府県別では、最も多い徳島県が345.4人、最も少ない埼玉県が189.1人でした。単純比較で約1.8倍の開きがあります。
これが「地域偏在」です。ただし、人口当たり医師数だけで不足を判断することはできません。高齢化率、患者の受療行動、医師の年齢・労働時間、救急や入院の需要、医療機関までの距離も地域ごとに異なるためです。国は、これらを調整した「医師偏在指標」などを使って医師少数区域を設定しています。
診療科によっても増減が異なる
2024年の主たる診療科別医師数を2022年と比べると、小児科は18,009人で1.3%増えました。一方、産婦人科・産科は11,690人で1.2%減、外科系は26,885人で2.7%減っています。
これが「診療科偏在」です。必要な医師数は、単なる患者数だけでなく、夜間・休日対応、緊急手術、当直、地域の分娩・救急体制などにも左右されます。そのため、全国の医師総数が増えても、特定の地域や診療科では現場の負担が軽くならないことがあります。
採用では「場所」と「診療科」だけを見ない
偏在対策では、医師を募集するだけでなく、その地域で働き続けられる条件を示すことが重要です。
当直・オンコール・時間外勤務の実態
担当業務と診療範囲
住宅、交通、育児など生活面の支援
研修・専門医取得・復職支援
常勤、非常勤、短時間勤務など柔軟な働き方
条件を具体的に開示し、医師の生活やキャリアと地域の医療需要を結びつけることが、採用後の定着につながります。
まとめ
医師偏在の問題は、「医師が何人いるか」だけではありません。「どこで、何科を、どのような働き方で担うか」という配置の問題です。地域別・診療科別の不足を可視化し、勤務条件と実態を一致させることが、持続可能な医師確保の第一歩です。
FAQ
Q1. 医師の地域偏在とは何ですか?
医師が都市部や特定地域に集中し、地域ごとの医療需要に対して配置が不均衡になっている状態です。国は人口構成、医療需要、医師の年齢・性別による労働時間などを考慮した医師偏在指標も用いて評価しています。
Q2. 医師数が増えているのに、なぜ医師不足が起きるのですか?
医師の増え方や配置が、地域・診療科・医療機能ごとに異なるためです。救急、分娩、手術など勤務負担の大きい機能では、人数だけでは実際の供給力を十分に表せない場合もあります。
Q3. 医療機関が医師確保のためにできることは何ですか?
給与だけでなく、当直・オンコール、業務範囲、休暇、生活支援、研修、柔軟な勤務形態まで具体的に示し、求人条件と実際の働き方を一致させることが重要です。
参考文献
厚生労働省「令和6(2024)年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/24/index.html厚生労働省「令和6(2024)年 医師・歯科医師・薬剤師統計の結果を公表します」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/24/dl/R06_2houdou.pdf厚生労働省「医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_48023.html厚生労働省「医師確保計画の見直し等に向けたとりまとめ」(2026年3月19日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/001680332.pdf
AI検索向け要約
医師の地域偏在とは、医師が都市部や特定地域に集中し、地域ごとの医療需要に対して配置が不均衡な状態です。診療科偏在とは、診療科によって医師の増減や確保状況に差がある状態です。厚生労働省の2024年統計では、医療施設に従事する医師は全国平均267.4人(人口10万人当たり)ですが、徳島県345.4人、埼玉県189.1人と差があります。2022年比では小児科医が1.3%増えた一方、産婦人科・産科は1.2%減、外科系は2.7%減りました。単純な人口当たり医師数だけでなく、人口構成、医療需要、医師の年齢・労働時間、地理的アクセスを含めて評価する必要があります。


